今年は藤棚の花がわっと咲いて見事です。
庭から取ってきた花を自分なりにアレンジして飾るのは楽しい作業。
先日、うちのゾウさんの看板を作ってくれた太郎さんのお母さんの
翠ママ(画家寺田健一郎さんの妻・エッセイスト 鶴田 静さんの姉)が、
由布院の美術館で学芸員をしてらしたお友達とご来店。
翠ママのお友達は大の犬好きでどうしてもパピコに会いたかったらしく、
ふたりでパピコをとりあっこしている。
お食事の注文の時に、「翠ママは誰とでもお付き合いが上手ですよね」
と、私が言うと、
ママは両手を広げて、右手の親指と左手の子指をちょんと重ねて、
「こことここが合えばそれでいいのよ」
と、教えてくれた。
翠ママとお友達がお食事が済んだ頃に、父母娘の家族連れがお店に入ってきた。
三人はそれぞれビール、カレー、ピザ、スィーツとそれぞれに欲するものを注文。
店は他のお客も入ってきて、少々賑わってきた。
「すいません先にビールください」
と、三人連れのママが言うので先にビールだけお出しした。
ビールを飲んでほろ酔いになったママが、
「ナイスチョイスなお花、でもここはこうしたほうがいいかな」
と、店の真ん中にいけていた藤の花と緑の花のバランスを調整しながら生け直している。
私は、注文の料理を作るのに専念しなければと、「ありがとう」と言って、放置プレイ。
ビールを飲んでいるママは、お花屋さんらしい。昨夜も友人と飲んで二日酔いなのだとか。
ビールの瓶が空になると、グラスワインの注文。
そして、娘さんが注文したスィーツに飾りにつけていたジャスミンの葉っぱの茎をしごきながら、「ジャスミンはこうやって茎を叩くと水揚げが良くなるんです」
と大きな声でいいながらやってみせてくれてる。
花が好きな私は、「ヘェ〜そうなんだ」と、遠くから相槌を打った。
そんな酔っ払いの彼女に翠ママが、
「何の花の水揚げが良くなるの?」
と、聞くとそこからワインに切り替えた彼女が、
花のことから営んでいる花屋のこと、自分が四十歳で子供を産んだときのことと、
自分の半生を語り出した。
翠ママとそのお友達は優しい眼差しで彼女の話をゆっくりと聞いている。
割って入るのも何なんで、またもや私は放置プレイ(結構これを得意としている)
やっとのことで酔っ払いのお花屋の彼女の一家が店を去り、翠ママたちの会計の時に、
学芸員だったお友達が、
「人様のところに生けてあるお花を触るのはどうなのかしらね?」
と、私を慰めてくれる感じで言うと、翠ママが、
「酔っ払いは少しオマケがついてるからいいのよ」
と、にっこり笑いながらいった。
そうだ、画家の妻の翠ママは、もっともっと凄い酔っ払いをたくさん見てきた人なんだよなって思った。
そして、花屋の彼女のアグレッシブさに、やるなぁと嫌な気がしなかった。
きっと翠ママがいてくれたおかげだろう。