火曜日, 11月 10, 2020

茅葺き屋根を見に


 「火曜日に、足場を外すからその前に茅葺の屋根に触れていただけませんか?」と誘われて那珂川の中之島公園近くのみな子さんのお父さんのおうちへ昨日行ってきた。

初めてメールをくれたみな子さん。先日友人たちが彼女の家に遊びに行っていたのをSNSで見ていた。 みな子さんはハワイにいるともちゃんの結婚式でいっしょだったみたいだし、うちのお店にも来てくれたことがあるらしい。ふむふむ何かこれは縁だなと思い、誘われるがまま現地へ向かった。


行った先は、那珂川の上流が庭を流れ、大きな大きな木に抱かれるように立っている素晴らしい茅葺き屋根の日本家屋。

ある日、この家を見かけたそわかは、ポストに自分の名刺を入れておいた。後日みな子さんのお父さんは、そわかと出会い二棟ある家屋の茶室の方の茅葺きを依頼した。

その後、茅葺きの店舗を構える、福岡の東の方のお出汁で有名な会社の社長さんが、みな子さんのお父さんを訪ねて来て、

「自分は腕の良い茅葺職人を知っているが、この茅葺は誰がした?」

「井手そわかという方にしてもらいましたよ。」

「やっぱりそうか、彼が葺いたのか。」

「次は、母屋の方を彼に葺いてもらおうと思ってますよ。」

きっとこんな会話を交わしていたんだろう。

そわかが茅葺き職人になるきっかけになったのは、このお出しで有名な茅葺き屋根のお店。


みな子さんのお父さんはこの家に住んで幸せだ幸せだと言って、昨年、友人たちと楽しく宴会をした次の日に幸せそうにお空の上に登って行った。

父を送り出してから一年の日が過ぎ、こんな時代だけれども彼女は父のために自分のために、誰かのために母屋の茅葺きを一新したくなった。

今回、この屋根は井手そわかの弟子たちが吹いている。


足場を伝って、屋根が触れるほどのところまで行って茅葺の横に立ってみると、その少し上で見守るみな子さんのお父さんとそわかの嬉しそうな顔が秋空の中に見えた。

良い休日でした。





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